「この子を叱っていいんだろうか」――継子と暮らし始めたとき、ぼくが一番迷ったのはそこだった。
実の親でもないのに怒っていいのか。嫌われたらどうしよう。そんな不安が頭をよぎるたびに、叱るタイミングを逃してきた。でも、それが積み重なると今度は「なめられてる?」という焦りに変わる。
ステップファミリーにおける継子への叱り方は、実親の場合とは違う難しさがある。この記事では、わが家が実際に試行錯誤しながらたどり着いた叱り方のルールと、叱ったあとのフォローについて書いていく。
継子を叱ることへの迷いはなぜ起きる?
継親が継子を叱ることに躊躇するのは、「信頼関係がまだ十分じゃない」という感覚からくることが多い。
実の親子なら、叱ることで関係が壊れるリスクはそれほど高くない。長年かけて積み上げた愛情の土台があるからだ。でも継親と継子の場合、まだその土台が薄いうちに叱ると「この人は敵だ」と思われてしまう可能性がある。
だからといって一切叱らないでいると、子供はルールの境界線を学べない。叱らないことが優しさじゃなく、無関心のサインに見えてしまうこともある。
この板挟みが、継親を悩ませる。
わが家が決めた「叱り方のルール」3つ
試行錯誤の末、ぼくと妻はいくつかのルールを決めた。完璧じゃないけれど、これを意識するようになってから関係がずいぶん楽になった。
① 叱るのは「行動」だけ。人格を否定しない
「なんでそんなことするの」「だからダメなんだ」という言い方は、行動ではなくその子自身を否定してしまう。これは実の親子でもNGだが、継親がやると傷が深くなりやすい。
ぼくが意識しているのは、「その行動がなぜダメなのか」だけを伝えること。「嘘をついたことは許せない」「人を叩くことは絶対にしてはいけない」――そういう言い方に絞るようにした。
② 感情が高ぶっているときは叱らない
ぼく自身がイライラしているときに叱ると、必ず言い過ぎる。声が大きくなる、言葉が強くなる、関係のない過去のことまで持ち出す――そういう悪循環に入りやすい。
だから「今ちょっと頭に来てるな」と気づいたときは、いったん場を離れてから話すようにしている。5分でも10分でも、冷静になってから向き合う方がずっと伝わる。
③ 叱るのはどちらか片方。もう片方はフォローに回る
ふたりで同時に叱ることだけは避けるようにしている。父ちゃんと母ちゃんに両方から怒られると、子供は逃げ場を失って何も言えなくなってしまう。
だからわが家では、どちらか片方が叱ったら、もう片方は口を挟まずフォローに徹する。叱る役とフォローする役を分けることで、子供が「全員に責められている」という感覚にならずに済む。叱られた後でも、もう片方の親には話しかけやすい空気が残る。それが大事だと思っている。
叱った後のフォローが一番大事だった
正直に言うと、叱り方よりも叱った後にどう動くかの方がずっと重要だと気づくのに時間がかかった。
叱った直後は、子供も大人も感情的になっている。そこですぐに「反省したか?」「わかったか?」と詰めるのは逆効果だ。ぼくが意識するようにしたのは、少し時間を置いてから、普通に接すること。
叱ったことを引きずらない。ご飯のときはいつも通り話しかける。次の日には昨日と変わらない態度で接する。これを続けていくと、子供の方も「叱られたけど嫌いになったわけじゃないんだ」と感じてくれる。
長男が中3になったころ、「父ちゃんって叱った後引きずらんよな」とぽつりと言ってくれたことがある。それがぼくには一番うれしいフィードバックだった。
年齢によって反応は全然違う
3人の子供を見ていて気づいたのは、叱ったときの反応が年齢でまったく違うということだ。
小学校低学年(三男)は、叱られた直後は泣いたりふてくされたりするけれど、切り替えが早い。引きずらないし、少し経てばまた普通に話しかけてくる。
小学校高学年(次男)は、言葉では「わかった」と返事するが、内心どう受け取っているか読みにくい。反発はしないけれど、しばらく距離を置かれることがある。時間が解決してくれることが多かった。
中学生(長男)は一番難しかった。思春期ということもあって、叱られることへの反発心が強い。言い方を間違えると「どうせ他人だから」という空気になってしまう。だからこそ、言葉の選び方と、叱った後のフォローを一番丁寧にするようにした。
継親として叱ることの意味
「継親が叱ることは子供にとって迷惑なんじゃないか」と思っていた時期がある。でも今は違う考えを持っている。
叱ることは、関心の表れだ。どうでもいい相手のことは叱らない。叱るのは、その子のことをちゃんと見ていて、ちゃんと育ってほしいと思っているからだ。
子供はそれを、言葉じゃなく積み重ねで感じていく。叱って、フォローして、また普通に接する。そのサイクルを繰り返すうちに、「この人は本気で自分に向き合ってくれている」という信頼が少しずつ育っていく。
ステップファミリーだからこそ、その積み重ねに時間がかかる。でも焦らなくていい。続けていれば、必ず伝わる。
まとめ――わが家の叱り方ルール
- 叱るのは「行動」だけ。人格や存在を否定しない
- 感情が高ぶっているときは場を離れ、冷静になってから話す
- 叱るのはどちらか片方。もう片方は口を挟まずフォローに徹する
- 叱ったことを引きずらない。次の日には普通に接する
- 年齢によって反応が違う。思春期は特に言葉の選び方を丁寧に
継子への叱り方に「これが正解」という答えはない。でも、叱った後に普通に接し続けることだけは、どの家庭にも共通して大切だとぼくは思っている。
うまくいかない日もある。言い過ぎて後悔する夜もある。それでも向き合い続けることが、ステップファミリーとして家族になっていく道だと思っている。


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